AKIKO SATO 写真展  9月23日よりスタート!

「佐藤晶子の写真の魅力」

 

佐藤晶子さんの写真を一目見たときから、

 

写真の持つ力、奥深さというものを改めて認識させていただいた。

 

特に惹かれた理由は、モノクロフィルムの持つ魅力を感じる

 

感性については我々誰しも持ち合わせているものの、

 

彼女の作品は正しく被写体の持つ表現を著しく増幅するもので

 

あったからである。

 

さらには、一見「色」の無い世界であるモノクロ写真が、

 

佐藤さんの作品はカラー写真より数段表現力が高く、深遠であることに、

 

能との共通性を強く感じた。

 

写真を撮るにあたって様々なデッサンや技術や知恵は、

 

云わば学術的に必要なことであろうが、失礼ながら単に何方かの作風を

 

真似たり、小洒落たセンスのみに頼っている写真を巷に時々みかける。

 

佐藤晶子の写真は、被写体の持つ様々な魅力を見抜くところから始まり、

 

それを芸術として作品にしている。

 

それは空間創造と言えるものではないかと思う。

 

彼女が「空(くう)」や「夢幻」というものに、

 

たとえば「水に映る月」の如くに、手に取ることが出来ずとも

 

確かに存在する「何か」に深く惹かれて撮るからであろうか。

 

「能」が未だに生き続けてきた理由の1つに、

 

省略の芸術による前衛性に加えて、鑑賞者の想像力に頼る

 

空間創造というものがあり、それは宇宙哲学的な思想に

 

基ずいているのではないかと考える。

 

佐藤氏はこれをも見抜いたのか、今回「夢幻泡影」というタイトルで

 

「能」を素材に写真展をなさるのは、私ども「能」を伝承する者として

 

感謝し、また興味の尽きないところである。

 

 

佐藤晶子の世界を、「なんてんカフェ」さんの空間を、

 

是非ともお楽しみ頂きたいと願う次第でございます。

 

 

 

夢幻泡影