7 第1回「満次郎の会」の楽しみ方 ロビー編の前に・・・

昨夜23時から30分間、インターFM「ラジオの街で逢いましょう」をお聴きいただきました皆様、

夜分にも関わらず、大変有難うございました。

また、お聴きいただけなかった方は、近々番組ホームページでも追加分が聴けるようです。

 

私自身、昨日は京都で1日稽古日で、名古屋までしか戻れませんでしたので聴いておりません。

ので、少々不安です・・・。申合せ(リハーサル)もなく、準備もせずいきなり収録が始まったので。

 

さて、「ロビー編」の前に、前回書きもらした大事なことを付け加えさせていただきます。

一部、出演者の簡単なご紹介でございます。

出演者は全て当然、私がお願いしたい方にのみご出演いただくわけです。

信頼と期待で一杯でございます。

 

ワキの勅使は森 常好師。ワキ方下掛り宝生流宗家の血筋の方で、

美声と凛々しく逞しいお姿で、人気の方です。

邯鄲のワキは夢の中の人物であり、盧生を起こすタイミングなど、

登場時間の割には大変難しい御役となっています。

 

笛は代々尾張徳川家に仕えていらっしゃた、藤田流の宗家、藤田六郎兵衛師。

名古屋では子どもの頃よりお世話になり、

現在では名古屋お稽古場としてお舞台も拝借しております。

東京の宝生流では藤田流の笛は大変珍しく、特に能「邯鄲」バンシキ楽は

前例がないかも知れません。

幕末尾張徳川家では宝生流とご縁深く、師のご先代六郎兵衛師も

私の父の師でもある名人野口兼資に師事なされ、宝生流謡を深く研究なさっていたそうです。

珍しいというだけではなく、舞台生活50年を迎えられた師の「魂の笛」を

立派なお姿と共に、皆様にお聴きいただきたい。

 

小鼓は大倉流宗家、源次郎師。

イケメンというお年ではありませんが、美男で、長身で、名手で・・・。

もともとお互い大阪が実家で、父親同士からのお付き合いです。

現住所もお近くで、可愛がっていただいておりますが、

芸には大変厳しいお方です。

 

大鼓は柿原弘和氏。

お父上の崇志師は、芸大時代の大恩師であります。

弘和氏とは私が芸大の助手をしているころからもう20年のお付き合いででしょうか。

若手随一の的確な名手です。芸風が父君に似てこられました。

 

太鼓は観世元伯氏。

同じくお父上元信師は恩師であり、亡父とも親しくしていただいておりました。

元伯氏とも弘和氏同様のころからのお付き合いで、

今は愚息も芸大でお世話になっており、恐縮なことです。

もちろん、舞台のことでも絶対的な信頼をおいていますので、

楽しみにしております。

 

間狂言は野村扇丞氏。

代々金沢の方ですが、野村万蔵家に修行に来られてから、東京にもよく出られます。

万蔵家もやはり金沢の出であり、辰巳家もそうで、父まで金沢で出生しております。

この邯鄲のアイも大変重要で困難な御役であり、今回は傘の受け渡しもあり、

どのように演じてくださるか、期待がたかまります。

 

シテ方は言うまでも無いかと存じますが、地頭の小倉師をはじめ、

大坪師・武田師ほかのベテラン、若手の地謡、後見に支えられて、

勤めさせていただきます。

 

能はシテだけいくら頑張ってもダメであります。

「能は地謡が7割だ!」という方もいらっしゃいます。

パーセンテージが幾つが妥当かは解りませんが、地謡が能の良し悪しに

大きな割合を持っているのは間違いありません。

当然、囃子もそうです。

 

さらに加えれば、見所(客席)も良くなければ・・・。

つまり、能鑑賞に不可欠な「想像力」を絶やさず、鑑賞していただいてこそ、

楽しんでいただける代物であります。

 

舞台の上が夢の世界ですが、見所までも夢の世界になっては困りますので・・・。

 

次回こそ、ロビー編でございますので!