2011年4月アーカイブ

10年ほど前まで、「ゴールデンウイーク」は「毎日舞台の週」でしたが、

最近では連休に催しを避ける傾向があり、むしろ舞台は続かなくなりました。

 

この情勢、観光地も頑張ってらっしゃいますので、応援しましょう!

 

私は例年仕事漬けです。 が、毎日移動して、連休ファミリーウオッチングなどしています。

1年で最も運賃の高い時期、混雑する時期ですが、指定券など一切取らず、

座右の銘「臨機応変」で動き回っております。

 

3日には、山陰線で綾部に参ります。

織物に所縁のある土地ですが、綾部の長生殿能舞台で「呉服」を初演いたします。

大変珍しい曲で、関西では明治以降宝生流では演じられておりません。

正直、私も一生勤めない予感さえありましたが・・・リクエストにお応えする形で、挑戦です。

 

「呉服」は「くれは」と読みます。

応神天皇の頃、中国から機織り技術を伝えた2人の女工、

「くれはどり」「あやはどり」が現代(といっても室町時代?)に現れ、

機織りを見せ(機織りの作り物を出します)、

織姫の姿となり、舞を舞い、宝の綾を織り、帝に献上します。

 

大掛かりな作り物を製作しますので、なかなか上演されないのでしょう。

もっとも、作り物を出さないやり方もあるのですが、

やはり出したほうが面白いのです。

 

さらに「作り物出」という特殊演出になると、後半もツレが登場し、

シテと天女の舞を相舞します。

いわゆる「脇能」としては、相当に変わった凝った演出であります。

 

途中の亀岡ではトロッコ列車や保津川下りなども楽しめます。

勿論、京の都もすぐそばです。

花粉症もそろそろ終息を迎え、さわやかな時節到来であります!

 

 

 

「お知らせ」で御案内しておりますように、

8月の2公演がそれぞれ来年に延期になりました。

 

MOA美術館は熱海の桃山の傾斜地にあり、

一番下から上まで15分かかる、彼の有名なエスカレーターで

お客様を運んでいます。

「能 M-1」の「時空を駆ける盧生」の場面でも登場しております。

 

現在、節電でエスカレーター作動もままならない状況で、

お客様を車で運ぶという、人海戦術で頑張って開館中です。

しかし、薪能は1000名以上のお客様、その対応は

不可能です。

公共の施設は特に節電を求められ、夜間照明も

控えなければならないようです。

これが来年に延期になった理由です。

 

新作能「サムソン」は、原発問題で学会本部が日本での開催を

中止したため、開催できなくなりました。

海外から見ると、日本全土が危ない事になっております。

仕方ありません、来年までジックリ練り上げていきましょう。

 

夏場の夜間野外の催しの開催が心配されますが、

なんとか元気なところでは盛り上げていただきたいものです。

全体的に沈み込んでしまっては宜しくないのではないでしょうか?

 

気分が落ち込んでは、復興もありません。

今の状況下、伝統文化を楽しんでいただくことは、

決して罪なことではないと信じます。

 

みんなが、めげずに頑張らねば!

「鞍馬天狗」文中には

「咲きも残らず、散りも始めず」とあり、

まさに満開、今日がベストという花見日和の時です。

 

しかし、今は はや散りゆく桜・・・

 

「弱法師(よろぼうし)」文中には

「如何様この花、散り方に なりぬるよな」とあり、

盲目の俊徳丸が、袖に落ちかかった梅花の香りを元に

散りゆく頃の「美」を楽しみます。

 

花は咲くも散るも美しいのですね。

人生でもそうありたいものです。

いや、これは命の始終の話ではありません。

 

この時期は八重桜、ある種の枝垂れ桜などは見頃でしょうか。

 

「桜川」シテの行方知らずの子「さくら子」は、konohana-sakura.jpg

氏神が木花開耶姫(コノハナサクヤビメ)なので、

その名があります。

 

             

そして、 木の花桜は  こちらです→

 

 

 

お陰さまで100回となりました。

やっとこさですが、1つの節目であります。

 

本来、大それたことを発信する様な身でもない者が、

色々勝手なことを書き綴って参りました。

私よりの一方通行のブロのため、様々失礼しております。

 

私を支えてくださる全ての方に感謝申し上げます。

 

 

今後とも、御後援、御叱咤、御意見賜れ

ば幸甚でございます。

 

このところの国難に加え、私としましても公私ともに

難儀を抱えながら、なんとか己の使命を果たしていく覚悟でございます。

 

何事も諦めず、希望をもって、責任を持ち、感謝を忘れず、sakura sinshi.jpg

まだまだ加えることありますが・・・

 

「明けぬ夜は無し」の精神で頑張らせていただきます。

 

さくらも新枝を出しているのですから。

 

 

 

 

「倭の魂」・・・

「倭」は「やまと」ですから、本当は「大和魂」です。

 

「大和魂」と言うと、「軍国主義」的なイメージが強くなってしまいましたが、

本来的意味は違うわけで、

例えばそのひとつ「和魂漢才」という言葉は

大昔から外国文化を取り入れ、応用して日本特有のものにするという意味が大きく、

これはまさしく「能楽」の発展も同じことでした。

 

臨機応変に対処して行く力であるとか、

和をもって尊しとするとか、

結束力であるとか、

真の意味での「愛国心」であり、

決して排他的精神のものでは無いと思います。

 

国を愛し、故郷を愛し、人を愛し、文化を愛し、

今人々が叫び呼応する如く、日本がひとつになり、

国を支えて行くのが真の愛国でしょう。

 

万人が被災地への支援心を惜しんでいないと信じます。

見知らぬ同胞に対し、あたたかくも強い気持ちを持っています。

さすが、我が国は捨てたものじゃないです。

 

復興されるまで、いや、その後もずっと、この意識をもって

倭人(日本に住む全ての人)は繋がっていたいものです。

 

様々な不安や難儀に立ち向かって行かざるを得ないのですから、

消極的な事は、そろそろやめて欲しいと。

元気なところが頑張って国力を維持しなければ、と考えます。

 

私共にもできそうな事を考えて、実行に移しております。

復興支援の為の継続的なチャリティ公演のほか、

様々な思いを巡らせています。

 

これから長い復興の道を行くわけですから、

号外も前号でとどめ、今号から通常に戻らせていただきました。