2012年6月アーカイブ

明日の7月1日(日)は13時半から七宝会(関西宝生流定期能)が

香里能楽堂で開催されます。


能「加茂物狂」倉本 雅 ほか

離れ離れになった夫婦が加茂の祭(葵祭)で偶然行き逢い、

元の如くに幸せに暮らすと言うお話。

大変珍しい曲です。観世流には無いので、特に関西では上演機会が少ないのです。

「物狂い」というのは、「何か」に執着し、パフォーマーとなって情報収集と

自己アピールをして探し相手を求める、というもの。


物狂いのアイテムである「狂い笹」に葵を蒔きつけて登場する女性は、

水に映る我が姿のやつれ果てた姿を見て、もはや今恋しい人に遭遇しても

気づいてももらえまいと嘆きます。

しかし、男は妻と解り、お互いに見知りて二人の懐かしい家に

待ち合わせて行く・・・という、少し変わった終わり方をします。

これは人前であることを恥じる、奥ゆかしい作品です。


「望月」
仇打ちものとして名高い曲ですが、特殊な獅子を舞う為に、

大変高度な曲と成っております。

シテのみならず、ツレも盲目の役を演じますので、

「石橋」の前のように「免状物」のツレであり、子方も鞨鼓を舞うので難しい役と成ります。


これを、シテ石黒 孝、ツレ石黒実都(次女)、子方石黒 空(長女の子息)という、

父・娘・孫の3代共演という、これまた珍しい機会です。


重臣とともに、親の仇を取るまでの芸尽くしと緊迫感溢れる物語展開、

能らしい楽劇を楽しめます。


是非、御高覧のほどを。


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韓国の文化交流使活動でさまざまに御世話になった国際交流基金から、

WEBマガジン「をちこち」の原稿を書かせていただき、アップされましたので、

御紹介いたします。


拙文ですが、私の思いや、交流使活動の様子が御わかり頂けるかと存じますので、

御一読下さいませ。

他のページも興味深い記事ばかり、国際交流に多くの方々の力が

現場で、本部で尽くされていることを実感できます。

国際交流基金WEBマガジン「をちこち」はこちら!

宝生会主催若手育成公演「青雲会」の

東京公演が明日26日開催されます。

14時より宝生能楽堂、勿論、入場無料です。


どうぞ御都合の宜しき方は御高覧いただきまして、

愛情ある厳しき御講評を賜れば幸いでございます。


◆素 謡「東 北」佐野 玄宜ほか

◆舞囃子「小袖曽我」辰巳和磨・木谷哲也ほか

◆仕 舞「葵 上」金井 賢郎 「敦盛」クセ朝倉 大輔 「是界」田崎 甫

◆舞囃子「氷 室」當山 淳司ほか

◆能   「花 月」葛野 りさ  森常太郎ほか

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韓国国立民族博物館(National Folk Museum of Korea)端午イベントで、

初の日本文化紹介であった今回、先週は長唄・三味線のワークショップあり、

昨日は能楽ワークショップを致しました。

場所は韓国の、あるいは民族の象徴的なキョンボックン(景福宮)にあることから、

日本物は困難な事情があります。

以前にも、展示物に日本の物が出た際に、クレームがついたとか。


相当に、緊張もし、心配もしましたが。

おまけに、担当した職員も「いつ中止になるか解りませんが・・・」と。


それでも、当日は満席の御客様、無事に勤めることが出来て、

また、自分の思いもそれなりに御話しすることもできました。

まことに、こういう機会を賜り、感謝としか申せません。

日本大使館広報文化院と民族博物館の御力による、

歴史的なイベントであったと思います。


滞在時間も24時間と短かったのですが、久しぶりのソウルは

懐かしさに溢れていました。

朴助手の車のカーナビの音声さえ・・・。

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台風が列島横断中であります。

土砂災害などが心配ですが、無難でありますように・・・。



お知らせにもご案内しましたが、24日(日)にソウルにある「国立民族博物館」で

能ワークショップを致します。

17日開催予定が、なぜか急遽24日に変更、お気軽すぎるのですが・・・。

山内崇生君に全てお願いしていましたが、私が参上することになりました。


朝鮮民族の歴史博物館であることから、日本文化などは過去に紹介されることも無く、

日本語を話すスタッフも今回初めて1人入職したとか。


2か月ぶりですが、相当懐かしく感じます。韓国語力もやや落ちて、

勉強しないといけません。


やっと、当日広報データが上がりましたのでご覧下さい。

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毎年、長年、父の日は名古屋宝生会定式能で、

私は子どものころから名古屋で必ず父と一緒、特に何のプレゼントもせず、

いや、5年に1度くらいはネクタイとか、ネーム入りシャツとか、何かしたと思いますが、

ずいぶん愛想のない息子でした・・・。


しかし、必ず元気な姿を見せ、父に会えるというのは幸せな事でした。


いつしか大人になり、父の隣で謡い、やがて自身が父となり、父の恩を知り、

ついには父を失い・・・


名古屋宝生会定式能は無事に終了いたしました。

御来場有難うございました。


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8月をのぞく毎月第3土曜日(1日が日曜日の場合には第2土曜日)は

宝生能楽堂で「五雲会」が開催されています。

若手中心(といっても、20代~50代まで)のシテが4人、

つまり、能4番と狂言2番という、能楽界では定期公演では最大規模の公演となっています。


先々先代宗家17代宝生九郎重英師の頃に出来た、

若手の勉強会の如き催しで、重英宗家は事前の稽古は勿論、

能4番とも地頭や後見を勤めたという伝説的な御活躍振りでした。


6月は

「加 茂」澤田宏司  「千 手」大友 順  「放下僧」小倉健太郎  「来 殿」内藤飛能

狂言「磁 石」前田晃一  「二九十八」高澤祐介です。 是非御高覧下さい。  

このボリュームで5,000円でございます!


172 梅雨入り

毎年やってくるのですが、入梅の様です。

じめじめと鬱陶しいですが、恵みの雨、成長の源でしょうか。



5月末から、アマチュアの発表会、「素人会」と言いますが、

26日の涌宝会(和久荘太郎君)、6月2日祥雲会(金森秀祥さん)、

3日崇宝会(山内崇生君)と続きました。

日頃の成果を発揮すべく、各師の愛情あり、常識の無い?稽古に耐えて、

立派な舞台が展開されました。


師匠も、客席の皆様も、御手伝いの我々も、祈り?と共に、

舞台の首尾良く舞い・謡い納めることに全力で協力致します。


多少の傷は問題ありません。

万が一深手を負っても、教えた先生のセイにしましょう・・・。


しかし、プロの場合は、卵と言えど厳しいものです。


昨日は大阪能楽養成会でした。

宝生舞囃子「雲雀山」

今日は名古屋育成会です。

宝生舞囃子「放下僧」「田村」ほか


卵や雛たちが、我武者羅に勤めます。

進歩も少し認められましたが、身体能力が物足りません。

「暴れ過ぎ」位で良い時期なのですが・・・

これは能楽界全体的に感じております。


夏合宿でもしたいと・・・。


17時からは東京宝生能楽堂で「関東宝生流学生連盟発表会」、

なんと学生たちが「鵺」の能を出します。

シテと間狂言と、地謡3人は学生。


プロもアマも、「卵たち」、シッカリ恵みの雨をいただき、

大きく成長してくださることを楽しみにしています。