13 華燭の典

我が宝生流の若き宗家、宝生和英師が、

kazuhusawed.SN3K00230001.jpg東京日本橋のホテルで15日に めでたくご成婚なさいました。

 

新婦雪恵様は、まさしく大和撫子であられる様子で、列席者一同心より

お慶びを申し上げました。

 

将来、宝生流を、能楽界をリードしていく新郎と、

支えていかれる新婦におかれては、希望と不安で一杯のご心境でしょう。

 

乾杯の音頭をとられた長老の今井師は

「長生きも芸のうち、役者は長生きしなきゃ、奥さんは旨いもの食べさせて、

旦那を長生きさせなきゃ!乾杯 !! 」と・・・。

米寿で能を舞われる今井師は、特大ステーキをぺろりと召し上がる御方で、

和英宗家が65年後に同じように召し上がるとは思えませんが・・・

兎に角にも奥様が最強の健康管理助っ人でいて下さるに違いないでしょう。

 

野村萬 能楽協会理事長が、ある方の言葉を引用しておっしゃった

「木には『葉』があり、それを支える『枝』があり、それを支える『幹』があり、

それを支える『根っこ』があり、でも根っこは見えない。根っこを大事に・・・」

というお話、心配無用とは思いますが、これは是非ともお忘れにならないで頂きたいものです。

 

宝生流、あるいは能楽界を支えているものは様々あれど、

一番強力で不可欠なものは「根っこ」であり、見えない、見えにくい存在なのかも知れません。

我々も微力ながら精一杯お力になりたいものです。

 

また、もう1つ「根っこ」の意味は、自分自身の中にもあるのでしょうか。

自身を支える根っこ、つまり土台をなす基礎的な力、これも大事に違いありません。

 

さらには、長い能の歴史の中に先人達がなさってこられた様々なこと、

これこそ「伝統」であり、樹齢数百年を支える「根っこ」であるに間違いありません。

 

たくさんのご来賓より、心に残る暖かいご祝辞をいただき、流儀関係者としても

有難い限りでございました。

 

思えば、私と同年代以上の楽師は四代に亘って宗家にお世話になる訳です。

「ライバル心」と「調和の心」の絶妙なバランスで成り立つ世界、

「超マイペース」な個人主義でも、「へんてこ」な民主主義でもなく、

よき連帯感を持って発展して行きたいものと祈念した次第でございました。

 

幾久しくお幸せに!!!