30  名古屋宝生会「山 姥」

早いもので3月になりましたね。

 

いまだ気候不順で風邪もはやり、

今年こそ治ったか!?と思った花粉症が突如やはり出てきて・・・

今シーズンは新グッズが出現、鼻孔に入れ込むマスク(使用中です)、

バリアとして塗るジェル、アヒルかカモノハシのような360度シャットアウトマスク・・・。

 

今年はそれでも少々楽なような気がしますので、軽く幸せです。

 

今月の御彼岸連休の21日、名古屋城正門前にある「名古屋能楽堂」にて

本年第2回目の名古屋の宝生流定期能「名古屋宝生会」があり、

私は能「山姥」を勤めます。

 

ちょっと昔に誰が名づけたか「山姥ルック」なる連中が渋谷中心に溢れ、

全国へ伝播していきました。

山に棲む鬼女なはずなのに・・・街に棲む特別な言葉使いをする少女達で、

でも怪しさは共通してらっしゃいましたが。

 

能のお話では、「百万山姥(ひゃくまやまんば)」という遊芸人が都で人気となり、

大スターとして使用人を従えて信濃の善光寺へ参拝を所望します。

やがて境川に到達すると、道が3方に分かれており、

如来が通ったとされる乗り物(馬や輿)もかなわぬ険しい道「上路越え」を選びます。

 

すると陽が高かったのに急に陽が暮れてしまい、道も判らなくなります。

一人の女性が現れ,我が家に泊まることを進めます。

宿主は、山廻りする山姥の歌を歌うらしいが、聞かせてくれと所望します。

なぜか彼女が百万山姥であることを知っていたのです。

だから泊めたとも言います。

 

どこか物すさまじい体で、自分が本物の山姥であることを明かします。

自分のおかげで隠れ無き遊君となったのならば、

感謝して我をたたえよ、感謝せよ、歌えといいます。

恐ろしく思った百万山姥が歌いだそうとすると、

月が出るまで待て、真の姿を現すからと消え去ります。

 

かくして、例の「白頭・赤顔」で恐ろしげな姿で再登場した山姥は、

曲舞(クセマイ)を舞い、山廻りする様を見せて、消え去ります。

 

この「山姥」のクセは「難クセ・三クセ」といって、「歌占」「花カタミ」と共に

難所だらけの難曲であります。

 

山姥は単なる鬼女ではなく、人間のために善行もしていると言います。

山に棲むモノノケといった存在でしょうか。

「悪」のイメージはありません。不思議な、霊的な存在です。

 

・13時開演   ・一般5,000円   ・学生2,000円  

他に能「清 経」、能「羽 衣」バンシキ、狂言「岩 橋」ほか

お取り扱い 電話 / fax共通 052-882-5600 nagoyahoushokai@castle.ocn.ne.jp