33  NOH MACBETH 4

29日に奈良斑鳩町の「いかるがホール」で能「マクベス」を演じます。

 

4度目の公演になりますが、作者は羽衣国際大学日本文化研究所所長の

泉紀子教授です。

5年前に同研究所のプロジェクト「東西古典の融合」の為の試みとして

ウイリアムシェ-クスピアの作品を能で演じる、というお話に協力依頼を受けました。

お引き受けするにあたって、「能」としてやるならば、

「能にないことはできない」という条件をつけさせていただき、

制作から関わらせて頂きました。

 

題材はマクベス、シェークスピアの無常観は能で表現するには良いと思いました。

泉所長の作詞に、シェ-クスピア考証も含め、学術的にも、実演的にもじっくりと

練り上げられて2005年10月に堺能楽堂で初演がなされました。

入院中の父の容態が悪い中、なんとか無事に終了しましたが、

翌々日に父は他界しました。

 

古典と違い、師に教わることもできない新作を演じることの難しさは、

いかほどか色々の面で勉強になりましたが、

父はどう思ったかは不明のままで・・・

 

翌年3月に大阪能楽会館、その翌年12月にMOA美術館で公演し、

ワキ・囃子方・狂言のメンバーを変え、細かい型も調整しながら、

進化していきます。

 

今回は劇場公演で、毎年能の公演を行っているホールですが、

同月に通常の能の催しも行われるので、マクベスについては、

松羽目や揚幕は使用せず、野外での雰囲気、深い霧に包まれた

古城の設定で演じる予定です。

 

能の持つ前衛性を充分活用して、伝統的な手法による新作能の可能性を

味わっていただきたいと思います。