35  諸行無常

諸行無常・・・

能の詞章「謡」の中にはよく出てきます。

お釈迦はこの言葉を悟って出家したとか。

 

「諸行無常。是生滅法。生滅滅已。寂滅為楽。」

これは涅槃経の「諸行無常偈(げ)」と呼ばれますが、

能のテーマとも言えるかと思います。

能「三井寺」の鐘ノ段という部位に、

鐘の音の響きの喩えとして引用もされています。

 

「この世界に変わらないものはない。全ての『生』は『滅』となる。

  生を永遠と思えば滅は『苦』であり、生が滅しきれば、『楽』となる。」

 

    「諸行無常。朝に紅顔あって世路に誇れど。

          暮には白骨となって荒野に朽ちぬ。

    猛き者もついには滅びて。ひとえに風前の塵に同じ。

          夢幻の世なりといえども。

                あら苦しや 閻浮恋しや。」 

 

    能「マクベス」後シテ マクベスの亡霊の第一声です。

  

この世の「生滅」が法であるのは承知していますが、

 無常観を強く意識しながら、この謡をかみ締めて稽古することになりました。