諸行無常・・・
能の詞章「謡」の中にはよく出てきます。
お釈迦はこの言葉を悟って出家したとか。
「諸行無常。是生滅法。生滅滅已。寂滅為楽。」
これは涅槃経の「諸行無常偈(げ)」と呼ばれますが、
能のテーマとも言えるかと思います。
能「三井寺」の鐘ノ段という部位に、
鐘の音の響きの喩えとして引用もされています。
「この世界に変わらないものはない。全ての『生』は『滅』となる。
生を永遠と思えば滅は『苦』であり、生が滅しきれば、『楽』となる。」
「諸行無常。朝に紅顔あって世路に誇れど。
暮には白骨となって荒野に朽ちぬ。
猛き者もついには滅びて。ひとえに風前の塵に同じ。
夢幻の世なりといえども。
あら苦しや 閻浮恋しや。」
能「マクベス」後シテ マクベスの亡霊の第一声です。
この世の「生滅」が法であるのは承知していますが、
無常観を強く意識しながら、この謡をかみ締めて稽古することになりました。