44 不休で普及

24日に実家近くの小学校への派遣体験授業、

並行して実家の香里能楽堂で寝屋川市国際交流協会主催の

ワークショップと鑑賞、25日は金沢で「能って何?」のお手伝いをしました。

来月も御殿場のリゾートホテル、豊橋と続きます。

 

現代社会においては、能楽を始め、伝統芸能なるものは、絶え間なく普及しなければ

過去の遺産となってしまい、アーカイブのみとなり、ライヴで生き続けることはできません。

 

普及目的としての能との触れ合いが「鑑賞」中心であった時代が長く続きましたが、

「ワークショップ」という言葉を耳にするようになり、

「能楽師による実演解説付き鑑賞」が世に出だしたのは30年くらい前でした。

 

私の知る限りでは、シテ方よりも囃子方の能楽師が先陣をきっていましたし、

それも関西の若手が活発に行っていたようです。

私自身もお手伝いするようになり、勉強させていただきました。

 

営利抜きで、学校へ派遣授業にうかがったり、能楽堂にお越しいただいたり、

普及意識が芽生えて行く時代でした。

 

およそ能楽の正式な形を安価で提供すること、

体験・習得することなど無理・・・と

文科省も、ほとんどの能楽師も考えていた時代でもありました。

 

10年前、中学校での和楽器習得や国語教科書への能楽採用の復活などを受けて、

ゲリラ活動のようにそれぞれ活動しているメンバーを集めて

能楽協会内に「教育特別委員会」が組織され、その活動が

組織化されシステム化され、意見交換をし、広まっていきました。

 

いまや当たり前のようにシテ方もワークショップをするようになり、

参加型・体験型のものが人気もあり、有効であることが

教育現場でも、能楽師側でも浸透しつつあります。

 

お届けする我々が、しっかりと能の持つ力を承知して体現していなければ

中途半端なものになり、魅力など伝わらないでしょう。

逆にワークショップの経験を積むことによって

能の魅力を深く知る切っ掛けにもなりました。

 

ただし、ワークショップがひと時のお楽しみのみで終わるのであれば、

空しいことです。

 

さらなる鑑賞・体験・習得へとつながっていただくことを願い、

「能ガキ師」の「満談」を飛ばす日々であります。