いにしへびとより伝えられし如く、時は過ぎてしまえば一瞬であります。
行く川の水は絶えずして、しかも元の水にはあらず。
世の無常と感じるか、万物の浄化と考えるか・・・
考えているうちにも過ぎゆく時を虚しいと嘆くか、再生し続けると喜ぶか・・・
散々古人の賢人が哲学してきたのだから、
ただただ時を大事に使うこと、噛み締めることだけで良いかと思っております。
昨日は、主宰いたします「巽会」の京阪神大会を
大阪能楽会館で開催いたしました。
所謂「お素人会」というもの、アマチュア弟子の発表会です。
父の代稽古を始めて10年ほどでしょうか。
幼い私を膝の上であやしてくださった方々に稽古をつけるのは
かなりの抵抗があり、しかも芸事上の猛者揃いだったので、
辛いものでした。
しかし、過ぎてしまえば・・・
人間の良くも悪くも「慣れ」のお陰で、
愛情ある厳しい稽古をするようになっていました。
プロ・アマ問わず厳しい稽古をつけた亡父は「鬼」と呼ばれておりましたが、
なんだか今では私のほうが厳しいような気がします。
世阿弥の言う真の「初心」を忘れている部分でありましょうか。
今年は初舞台の新人2名を加えて、あとは大半が大ベテラン、
それなりの味のある舞台でした。
今日は父の命日。
朝から近隣の小学校3校集めて実家の香里能楽堂で
体験教室、羽衣国際大学での稽古、実家に舞い戻り、仏壇にお参り。
その後、DVD制作打ち合わせ、京大宝生会の稽古。
来年はもう辰巳孝の七回忌であります。
過ぎてしまえば・・・