105  5月の舞台

5月は爽やかな季節であります。

筈ですから、はやくそうなって欲しいのでありますが・・・

 

3日には綾部市長生殿能舞台で、関西宝生流では江戸末期以来の

「呉服(くれは)」を、なんとか無事に勤め、今回は相当にてこずりましたもので

安堵感も大きいものでございました。

 

4日には北陸、5日は東京で大坪喜美雄師の同門会40周年記念会のお手伝い、

本日は8日月並能の申合せでした。

 

8日は「千 手」の平重衝を勤めます。

ツレではありますが、大変重要な役でシテと同格近い役であり、昔は「両シテ」扱いでした。

囚われの身となった重衝のもとへ、頼朝からの慰問として毎日の様に訪れる千手の前。

雨の中、琵琶と琴を持参して舞い、謡い、慰めます。

興に乗じた重衝は琵琶を奏し、千手は琴を奏でます。

やがて、処刑の為に鎌倉に護送されて行きます。

涙と共に袖をすり合わせる二人の思い・・・。

●8日宝生会月並能

「八島」東川光夫  「千手」金井雄資 辰巳満次郎  「鵜飼」宝生和英

 

21日は薪能のルーツ、興福寺薪御能です。

戦後、5月11日・12日と決まっていましたが、

実はその日は何の意味もない日である事が判明し、

本年より第3金・土曜日と変更になりました。

 

私は留め(最後の出番)の「鵺(ヌエ)」です。

顔は猿、尾は蛇、手足は虎、鳴く声は鳥の鵺である妖怪。

「猿飛出」という能面を着用します。

 

源頼政に退治されたヌエの亡霊が現れ、

かつて黒雲に身を隠して、近衛院を原因不明の病気にして悩ませ、

頼政に退治された様子を再現します。

 

1100年以上前からの薪能ルーツの催し、是非お出かけ下さいませ。

17時半より興福寺境内

●20日 金春流「岩船」金春安明  観世流「花月」観世喜之

●21日 金剛流「羽衣」金剛永謹  宝生流「鵺」辰巳満次郎

の役目となっています。