能における笏之舞は、古くは金春流のようです。
観世・金剛にはありません。
ただし、金春は笏を持ったまま「急ノ舞」を舞いますので
身体能力を要求される、激しい舞と思われます。
喜多流の笏之舞は宝生と同じと言われますが、
それは演奏形態がほぼ同じだけで、
舞い方はかなり異なっています。
調べるうちに、「笏之舞」は宝生が本流と解りました。
前回①でも書きましたように、「翁」と同じなのは
宝生だけです。
翁の時に、大小前(大鼓・小鼓の直ぐ前)から角(角の柱近く)、ワキ座前と
三角に移動し、笏を構えて「天地人」の三つ拍子を踏みしめる型があり、
懐中之手という特殊な囃子で笏を懐中し、扇で舞い始めます。
この間、大変にややこしい「手(特殊演奏)」が続き、
難儀ではありますが、大変面白いものです。
宝生流は特殊演出の数が少ないほうですが、
どれも難易度が高いといわれます。
なぜ、笏之舞が宝生本流になったのか、今のところは不明です。
ただし、「安宅」延年ノ舞も宝生が本流であり、
昔より祭祀系のものに特別な関わりがあるのかも知れません。
宮中雅楽の「笏之舞」から影響を受けていると考えるのが自然でありましょう。
これにつき、調査中です。
ー つづく -