142 「秘中の秘」笏之舞について ②

能における笏之舞は、古くは金春流のようです。

観世・金剛にはありません。

ただし、金春は笏を持ったまま「急ノ舞」を舞いますので

身体能力を要求される、激しい舞と思われます。

 

喜多流の笏之舞は宝生と同じと言われますが、

それは演奏形態がほぼ同じだけで、

舞い方はかなり異なっています。

 

調べるうちに、「笏之舞」は宝生が本流と解りました。

 

前回①でも書きましたように、「翁」と同じなのは

宝生だけです。

翁の時に、大小前(大鼓・小鼓の直ぐ前)から角(角の柱近く)、ワキ座前と

三角に移動し、笏を構えて「天地人」の三つ拍子を踏みしめる型があり、

懐中之手という特殊な囃子で笏を懐中し、扇で舞い始めます。

 

この間、大変にややこしい「手(特殊演奏)」が続き、

難儀ではありますが、大変面白いものです。

 

宝生流は特殊演出の数が少ないほうですが、

どれも難易度が高いといわれます。

なぜ、笏之舞が宝生本流になったのか、今のところは不明です。

ただし、「安宅」延年ノ舞も宝生が本流であり、

昔より祭祀系のものに特別な関わりがあるのかも知れません。

 

宮中雅楽の「笏之舞」から影響を受けていると考えるのが自然でありましょう。

これにつき、調査中です。

 

ー つづく -