143 「秘中の秘」笏之舞について ③

笏は「神具」として市販されています。

寸法はほぼ統一されており、形は丸みの強いもの、角ばったもの

少しずつ違うこともあるようです。

 

自身での稽古にも必要なので、

私は国産の櫟で作られた神道儀礼用のものを2本購入いたしました。

正目と木目です。

正目は神前で使うに相応しいようです。

木目は御好みもあるようですが、巷ではやや高価とか。

 

材質は櫟が1番ですが、屋久杉などを好む方もいらっしゃいます。

 

寸法は30センチほどです。

しかし、本来は持ち主の肘から手先までだったようです。

宝生の江戸期より残る笏は45センチでした。

昔の貴族であり、左大臣であり、権勢を笏寸で示すこともあったことから、

丁度良さそうな長さであります。

 

私の肘から手先より少しだけ短いですが、

これ以上長くすると懐中できなくなりますので、

忠実に寸法を測って特注製作させました。

 

神道儀礼では笏は必ず胸に平行ですが、

貴族の持ち方は少し前に倒すと考えています。

聖徳太子を始め、さまざまな肖像画や御尊影がそうだからです。

 

しかしながら三つ拍子のときには、きっちり構えたいものです。

 

宝生弥五郎が文化年間に復活させた笏之舞、

その時に相手をした笛の一噌又六郎宗家の「秘中の秘考」という伝書にも

さまざま詳しく書かれています。

 

今回、詳しく書付を遺すのは勿論ですが、初めて映像・音声も残る訳です。

なにより、ご覧になる方々の目にも・・・。