185 もうすぐ「散尊(サムソン)」です!

昨年震災で本年に延期になった国際ミルトンシンポジウム東京大会は

第10回の記念大会となり、さらには大会オーガナイザーの佐野弘子青山学院大学教授の

長年の夢であったミルトン作「闘士サムソン」の能化も実現、

高橋睦郎氏による作品は、素晴らしい出来栄えです。


当初、流石に難しい言葉を御使いになるので、やや抵抗を感じておりましたが、

作り込み、謡い込むうちに、納得していくのでありました。


新作というものは、古典を専門とする我々にとって、一種のルールをもって、

つまりそれを行うべき意義の検証と節度と研究努力によって、

さらに流儀として引き受けるのでなくとも流儀への届け出など、

いくつかの筋を通したうえで勤めるべきものと考えております。


次には作品の深い理解と背景の勉強を重ねて、作品の最大の理解者と成り、

メンバーに解説しながら造り上げて行きます。


能には無いことをせず、しかし能の可能性全てを利用し、

難産を克服して参ります。


今回は旧約聖書、大詩人ミルトン、という壮大なテーマを、

能の力でいかに包み、表現できるか、しかも前後シテもミルトンも盲目、

手強い役でございます。

能に於いても盲目の役は、相当に位の重いもの、新作でなければ「待った!」が

かかりそうな・・・


己の勉強として勤めたいと思います。


装束合せも大変ながら楽しいもの、能面は新作2面を使用します。

お陰さまで完売いたしました。

評判良ければ、ロンドン公演あるかも・・・。


写真は後シテのサムソン着用「散尊」と後ツレデリラ使用の「蛾媚」、

藤原千沙氏作です。

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