2011年9月アーカイブ

昨日は熱海、三島、東京と稽古にまわり、

夜は照明セッティングほか準備を進めました。

 

本日は稽古の後(11月に主宰する同門会30周年があります)、

宝生能楽堂をテーマパークにする作業の大詰めです。

 

皆さまをお迎えする準備は着々と進んでおります。

 

北海道、東北、九州、中国、四国、関西、信州、東海、北陸・・・など御遠方の方、

あるいは被災地からもお見えです。

感激であります!!

 

私はもとより、スタッフ一同、懸命に勤めさせていただきます。

 

明日は少々御天気が心配ですが、

交通機関に影響が出る様子はございません。

 

どうぞお気をつけて、「鬼退治」?にいらしてくださいませ。

 

※前売りは本日18時受付終了です。 当日券もございます

よく「泣いても笑っても・・・」といいますが、

本当にそんな感じ の 第3回「満次郎の会」間近の夜であります。

 

「来年のことを話すと鬼が笑う」とか

「泣いた赤鬼」の物語(懐かしいです)とか、

やっぱり「鬼」と繋がってしまいます。

 

どうやら、「眠れる鬼」をも起こしてしまったようで、

鎮めるのに一苦労です。

 

能は序破急原理に基ずく、「神・男・女・狂・鬼」の五番立てが構成の基本です。

つまり、最後はいつも「鬼」を登場させるのです。

その鬼は退治されたり、鎮められたり、退散して逃げ去ったりしますが、

必ずシテ(主役)なのです。

 

正義の味方(?)はワキに任せて、

超人間、世にまつろわぬモノ、哀れなるものを勤めるシテ。

 

鬼の気持ちがよ~くわからないと・・・

 

昼の部、夜の部、出来れば両鬼、お見逃しなきよう。

鬼どもの鎮魂に お力添えを。

 

 

完全オリジナル満茶屋セット ↓

manchaya 3.jpg

 

 

 

 

 

 

 

 

昨日は名古屋の某カプセルホテルで過ごし、久しぶりに身体を縮めてまどろみました。

台風で新幹線が名古屋までしか動かず、名古屋のホテルは完売でしたから

致し方なかったのですが。

 

昔はよく寝台車に乗りました。急行「銀河」のB寝台など、上中下3段ベッドでした。

膝を立てたまま・・・・なのを思い出しました・・・。

 

いよいよ「夜の部」です。

 

夜は「人が執心によって鬼と化したものども」です。

 

「おはなし」は増田正造先生。

おそらく「葵上」の解説は数多くなさっているでしょう、

普段うかがえない、深いお話に期待しております。

 

仕舞「船 橋」、「佐野の船橋取り放し」の伝説、

二親が我が子の恋愛を阻止するために取り放した「船橋」。

そうとは知らず夜更けに逢おうとし、船橋を踏み外し水に沈んで果てた悲話。

執心の鬼と化した男の、罪障懺悔の場面です。

 

「鉄 輪」、有名な陰陽師安倍晴明登場の物語。

裏切られた夫を呪い殺そうと、貴船神社に足しげく参った女。

「頭上に鉄輪を付け、火を灯し、赤い着物に赤く顔を塗り、怒りを持てば

叶えてやろう」との御告げがありました。

丁度夢見の悪い元夫は、訪ねた晴明に真実を聞かされ、

今夜命を落とすと知り、慌てて助けを乞います。

恐ろしい形相で現れた女は、元夫をとり殺そうとしますが、

晴明の祈祷により出現した神々に阻まれてしまいます。

 

「綾 鼓」、鼓を鳴らして音が出れば姿を見せてやろうという言葉を信じ、

恋する女御の姿を一目見んと必死に綾の鼓を打つ庭掃きの老人。

騙されたことを恥じ、恨み、池に身を投げてしまいます。

女御に憑き祟る老人の悪霊は、激しく女御を攻め立てます。

不思議なことにこの曲には鎮める立場の者がおりません。

それほどに激しいのか、救われないまま終了します。

能では「奥伝」の扱いです。

近年仕舞としてこの部分が上演されるようになりました。

 

狂言「伯母ケ酒」、酒を飲みたいために、鬼に変装する甥っこ。

伯母とのやり取りが軽妙でです。

昼の部と違って、鬼に化けた男の作戦ですが・・・。

 

一調「女郎花」は葛野流一調では、唯一「鬼(邪淫鬼)」の登場する曲です。

ゲストの観世流分家、銕仙会ご当主の観世銕之丞師と

亀井広忠さんの「調和と不調和のギリギリの闘い?遊び?」の空間、

一調の醍醐味に御期待ください。

 

 

 

能「葵 上」梓之出、これは蝋燭能で演じさせていただきます。

 

左大臣息女、光源氏正妻の葵上には物の怪がとりつているとの噂しきり、

医療も加持祈祷もすれども功なく、梓弓の名手、「照日巫女」が呼び寄せ

られ、六条御息所の生霊の仕業と判明しますが、鎮静できず。

横川小聖が呼ばれ、祈祷すると本体が現れて、

死闘の末、やがて鎮まります。

 

梓之出の特殊演出は、主に御息所の登場場面にあります。

まずは巫女の祝詞が始まると、「半幕」でバストダウンのみ見せ、

幕離れ、一之松と、たびたび止まっては繰り返し泣き(シオリ)ます。

巫女の奏する(と思ってご覧くださいね)梓弓の音に引かれて、

霊が呼び寄せられる訳です。

傷んだ牛車に、青女房も巫女には見えるようです。

 

意味としては、照日巫女のみが姿を見ており、

最初の対話は実は全て御息所のセリフであり、

口寄せ(霊媒)である巫女の口から出ていると言う事です。

 

その後、様子を臣下に報告すると「大方は推量している」と。

そう、世間も含め、皆知っているのです。

なんとか鎮めようとする巫女ですが・・・。 

「枕の段」」と呼ばれる、ホタルを追いかけ光源氏を慕い、

やがて恨みを増して、幽界に連れ去ろうとする御息所。

 

横川の小聖が呼び出され、祈祷を始めると、

鬼の姿となった御息所に対して数珠をサラサラと押し揉んで

終には祈り伏せます。

 

「世にまつろう」形をとりつつも、裏には「これでは済まないのが執心」と、

能「葵 上」作者の真意があると思えば、この曲の強引な最終章も

おさまるのではないでしょうか。

 

「鬼」と化したものは「退治される」のではなく「鎮められる」対象となっており、

成敗されることもありません。

 

それは、だれの心の奥底にも「鬼」が棲んでいるからなのでしょうか。

 

是非、満次郎の会にお出かけいただき、「鬼」にも

思いを馳せていただけば如何でしょう。

 

 

 

 

 

台風15号の被害にあわれた方には御見舞申し上げます。

列島縦断で爪痕を残し、報道もありましたが東京での大風の被害は大変でした。

私も、足止めの名古屋で難民一歩手前になり、それなりに苦労しましたが、

東京では「普通」にそんな状況だったようです。

 

本当にいい加減に鎮まって欲しいものです。

 

さて、肝心の内容のお楽しみ、昼の部です。

昼の部はことごとく「もとより鬼」であるものどもの曲。

 

「おはなし」は30年来の友人、東洋研究家のアレックス・カー氏です。

彼は子供時代から日本に在住し、やがて日本文化の魅力をよく知り、

海外の人々に向けて「書」「茶」「花」「能」などの体験プログラムや、

昔ながらの日本建築、街並みなどの保存も手掛け、

全国で講演、また「犬と鬼」など出版も多数あります。

 

今回は事前に彼のお宅で対談も行い、そのダイジェストは

当日パンフレットにも掲載いたします。

彼のお話と共にお楽しみ下さい。

 

仕舞、「大江山」は酒天童子が酒宴をして山伏に変装した源頼光を

もてなし、やがて夜の臥戸(寝室)に入るまで。

隠れ家を知られ、気弱になる酒天童子を「誰にも秘密」と慰めておいて、

寝入り中に騙まし討ちにする頼光。

「情けなしとよ!」と憤る童子に「鬼にそんなこと言う権利なし」と切り捨てる。

 

「土 蜘」は、その頼光が原因不明の病に倒れて、

明日をも知れぬ虫の息の折に、枕元に忍び寄る怪僧(土蜘蛛の化身)。

枕元の名刀「膝丸」で斬り伏せられ、怪僧は蜘蛛の糸を噴き出して失せる場面。

その後、血痕をたどった独武者達に退治される運命であります。

 

「山 姥」は、山に棲む鬼女の山姥が山めぐりを再現する場面。

「百万山姥」と言われる遊芸人、山姥をモデルとした遊芸でスターになったが、

真の山姥を見たこともなく理解もしていないので、恨みを述べます。

クセと呼ばれる部分ですが、山姥のクセは「難クセ」と称される3曲の内で、

舞も謡も相当にレベルの高い仕舞です。

 

狂言「鬼の継子」、本物の鬼が出てくるスタイルは狂言では珍しい方です。

幼子を背負う人間の母親と3人連れ立つ羽目になりますが・・・。

人間にはない鬼の心理も見所です。

 

一調「歌 占」、突然死したあと、3日後に蘇生し、その間に地獄を見てきたという

伊勢二見浦の神職、渡会(わたらえ)。

歌占のお陰で生き別れた我が子と再開、考案した地獄のクセ舞いを舞います。

 

演奏部分は、クセ舞いをして神掛かりになり、

神気が抜け、我が子と連れ立って伊勢に帰る部分。

鬼は登場しませんが、鬼の住処「地獄」がテーマです。

 

そして能「紅葉狩」。

通常シテに伴うツレの上﨟達は3人ですが、このたびは古式にあった5人ツレで演じます。

いっそう、華やかな紅葉狩の宴席となるでしょう。

戸隠山で狩をする将軍、平惟茂(これもち)が幕を回し、屏風を立て

酒宴中の高貴な上蘢達の宴に通りかかりました。

下馬して通り過ぎようとする惟茂の袖を引き留める妖艶な女。

その美貌と酒に溺れて眠りこけます。

それを見定めて鬼の本性を現わして激しく舞う(急の舞)と山中へ消え去ります。

 

夢中に神の使いが現れ、眠り込む愚かさを咎めますが、

結局は退治を命じ、神剣を授けます。

 

身の丈1丈(約4メートル)の鬼と激しく闘いますが、ついには退治します。

 

世にまつろわぬもの達、「鬼」は

権力者から見ると「成敗」の対象であります。

 

そして能では主役はヒーローではなく、

退治される側です。

 

鬼どもの悲哀を匂わすではありませんか?

 

 

 

 

そろそろ彼岸に入り、連休も2つ続き・・・

巷はバカンスの方も多いようです。

彼岸過ぎれば過ごしやすくなる事になっていますが、

打ち続く自然の脅威には、へとへとします。

 

そう、100万人に避難勧告が出た大名古屋市で稽古中でした。

ここ100年近くは少なくとも無かったという事態、

わざわざピンポイントで居るとは・・・。

稽古中に役所の車が街宣して「避難勧告がでました。」と、

言われましてもどこへ逃げれば良いのやら?

確かに、ものすごい大雨でした。電車も停まり、名古屋駅ではタクシー乗り場に

300人ほど行列です。

 

ただし新幹線は順調でしたので、脱出して関西に居りますが、

明日はもっと大変そうです。

皆さま最大の注意を払って、御無事でお願いします。

 

さて、そのような状況でも容赦なく10月1日が迫ってまいります。

 

今回は「満次郎御膳」の御案内。

24席のイタリアンは先月に満席になりましたが、

50席対応のチャイニーズはまだ10席ほどございます。

お電話お待ちしています。

 

来年も続けてまいりたいと思いますので、御参考までに内容を・・・。

 

イタリアン「ラ・ルーチェ」

季節感溢れるメニューです。

・アジと茗荷の生姜マリネ

・秋鮭のトマトクリームパスタ

・和牛ほほ肉と牛蒡の白ワイン煮込み

・キノコの豆乳ポタージュ

・パンとオリーブオイル

全て味のバランスも良く御満足いただけると存じます。

ita.manben.jpg

 

 

 

 

 

 

 

チャイニーズ「志苑」

・能に於ける「鬼」が平安期の観念を持つことから、

平安調プレート

(「おかず」の語源でもある周りに数多く置かれた「お数」)

見た目も綺麗で楽しいお皿です。

スープとサラダ付き、アッサリ中華は絶品です。

 

chin.manben m3.jpg

 

 

受付をお通りになると、まず、いつものようにシンプルで気高き「いけはな」、

青山御流家元の園楽山師による作品がお迎えします。

今年は「結界」を意味する、竹の作品。

能にも共通するそぎ落とした空間、楽しみです。

 

左手に進むと、佐藤晶子氏の写真を展示してあります。

特にモノクロの鬼才と私は思っておりますが、

よくよくご覧いただきたいと存じます。

見つめるに思いの増す作品です。

 

見所(客席)への扉側壁面には、様々なイラストレーターにお願いして

思い思いの「鬼」のオンパレード。

今回は10枚の予定です。

昨年、「満次郎弁当」の御客様に差し上げた手ぬぐい、

「能楽鳥獣戯画」のきゅうこ氏も参加しています。

その作品を1枚のカレンダーにして、漏れなくプレゼントの予定です!

 

ショーケースには、当家伝来、今回の舞台に使用する能面と、

京都で活躍する猪熊佳子氏の御協力を得て、作品を展示します。

氏の作品は「緑」を基調にしており、

能の世界とは大変気が合いますので、どのようなギャラリーになるか

お楽しみに願います。

 

そして、中庭特別スペースには、昨年制作販売しました「能M-1」で音楽をお願いした

上田益氏実行委員長によるレクイエムプロジェクトで、

和洋習合の能舞「光明」で使用した衣装を展示します。

作者は衣装以外にも、華道教授、デザイン、絵画、DJ・・・まで多才で有能な

熊野寿哉氏。

今回は、衣装のみではなく、やはり「鬼」を3枚書いていただきました。

 

能M-1のDVDも勿論販売させて頂きます。

 

復興祈念と題して、会津の「鬼生」を仕入れ、

鬼を飲み干して頂こうと考え、限定100本、販売しております。

販売と申しましても、御代はそのまま震災復興募金箱に入れていただきます。

 

ロビーは今年も、お楽しみ満載でお届けいたします。

 

 

 

 

 

 

 

ロビー企画の大筋は前回お知らせしましたが、

更に詳しくお伝えしましょう。

 

まず、恒例の「満茶屋」です!

 

「りんご」「栗」・・・と続いたオリジナルほうじ茶。

「京はやしや」さんの絶大な御協力で、

今回もオリジナルブレンド、満茶屋のみの御提供です。

 

今年は・・・

メインテーマ「鬼」 サブテーマ「酒」。

 

「和梨ほうじ茶」と「鬼も喜ぶ福豆入りパウンドケーキ」です。

ほうじ茶は

例によって数種類のブレンドの中から試飲を重ね選び抜いた

今回の「和梨」ブレンドです。

 

 

パウンドケーキは

石臼挽き抹茶入り、丹波黒豆入り、伏見銘酒「鬼殺し」風味、

しかも特別にカップケーキにしていただきましたので、

食べやすく、お持ち帰りも可能です。

満茶屋セットは昼夜限定200食ずつ450円、

ロビーで食券をお求めの上、

是非是非お召し上がりください!

朝夕は過ごしやすくなって参りましたものの、

日中は残暑厳しき毎日、お見舞い申し上げます。

 

また先日の台風では大変な被害も出て、

まさに山の津波のような悲惨な光景で、

自然の猛威の爪痕にあきれ果て、

被災された方にはお見舞い申し上げるばかりです。

 

この夏は、色々様々、大変な夏でございました。

猛暑の勢い、熱中症続出、東日本大震災の復興大作業、

円高の影響、例によって政治不安定・・・。

 

節電の影響で中止された催しも数知れません。

 

しかし、なんとか夏の疲れ(色々な意味で)を吹き飛ばし、

少しでも気持ちの良い秋のひと時を御提供するべく、

鋭意努力の日々でございます。

 

10月1日(土)は、宝生能楽堂にお運びいただき、

お楽しみいただきたいと存じます。

 

「お楽しみ」御案内その1として・・・

 

◆ロビー企画

「青山御流 いけはな」・・・家元園楽山師

「満次郎能姿 写 真」・・・佐藤晶子氏

「満 茶 屋」・・・・・・・・・・満次郎の会オリジナル菓子とお茶

「鬼イラスト展」・・・・・・・・・イラストレーター達による「鬼」作品展

「光明ブース」・・・・・・・・・・熊野寿哉氏作品ブース(「光明」衣装・「鬼」イラスト)

「ショーケース」・・・・・・・・・猪熊氏作品と当日使用の能面展示

「販    売」・・・・・・・・・・「復興祈念」会津銘酒「鬼生」(売上は復興支援金として寄付)

        ・・・・・・・・・・満次郎の会制作DVD 能「M-1」

 

詳細は次回以降、お届けします!

 

ポッドキャスト「なるほどがってん」 満次郎の会特番関連 でも

色々お楽しみいただけます。是非お聴きくださいませ。

 

 

 

 

 

 

 

双鎮魂舞 

~ダブル・レクイエム~

 

 

光あらば、必ず陰、闇あらん。   この陰、闇に漂いし者、鬼と呼ばん。

(うつつ)に「()ぬ」故、鬼と云うなり。

 

天地(あめつち)の神が祟り、あるいは執着に狂い、

(おそ)ろしげなる異形(いぎょう)の姿となりしが  その心、いと哀れなり。

 

さらば、これらうつろう(はかな)き魂どもに  (しず)めの曲をば、双つ舞い奉らん。

 

 

その深き慈悲に魂は浄化されん。

 

 

 

平成23年 10月 1日(土)昼夜公演

 

東都本郷は宝生能楽堂にて

 

 

お見逃しなく・・・

 

 

mankai3_ura.jpg