337 東京満会8 終了 感謝申し上げます

26日の「無明怨炎 弐」は無事に終了いたしました。

満席のお客様をお迎えし、怪我もなく勤めることが出来ましたのも

皆さまのお蔭で様です。

心より感謝申し上げます。


今回はもっとも苦しく、しかし幸せな、長い1日でした。


道成寺小野院主さまの『道成寺縁起』絵解きに始まり、

長唄会最高峰の演奏であった杵屋勝国師と勝四郎さんを立三味線・立唄とする

『京鹿子娘道成寺』は長唄を普段お聴きにならない方が大半である能楽堂に於いて、

絶賛の拍手を頂戴しました。


同年の仲良しでもある、喜多流長島茂さんと大倉流小鼓の鵜澤洋太郎さんによる

一調「玉之段」は、引き算の中に能一曲を浮かび上がらせる手組が施され、

長唄と一味違った華やかさを出して下さいました。


仕舞『求塚』は宝生トップの高橋章師。

言うまでもなく、更にそぎ落とした中に逆に大きな表現の世界が拡がる

至高の舞でした。


能『道成寺』は、宝生宗家、笛方藤田宗家、大鼓方葛野宗家、太鼓方金春宗家をお迎えし、

シテ方・三役諸役に手練れの面々に囲まれての有難いメンバーで

上手く行かねば全て己の責任とも言える恵まれた環境。


4月の大阪に続き、己を甘やかさずに心身の極限まで攻めたいとの思いは

なんとか成し遂げることが出来ました。

25年前の初演時に比べれば体力は落ちたでしょうが、経験は積みました。

それを活かせねば、もう辞めた方が良いのですから・・・


道成寺に限らず、能役者は身体の衰えを増しつつ、

さらに困難になる重役を重ねていく運命を持ちます。

しかも、毎回命がけの思いを持ちつつ、でも倒れてはいけないのです。

長持ちもせなば、ならないのです。


ちょうど今、自身がその入り口にさしかかる頃かも知れません。


しかし、いつまでも諦めずに上を目指さねばならないのだと思います。

明日には今日より、少しでもマシな舞台を勤めたいと思い続けねば。


そして、それをさせて頂くことに感謝を忘れないように肝に銘じます。


今後とも宜しくお願い申し上げます。


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       松と蛇身のすり抜けた竹 熊野寿哉氏


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      道成寺境内は「花のほかには松ばかり」 
         「花月夜」 中野大輔氏      


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            道成寺縁起 上巻


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            道成寺縁起 下巻



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